金子義信さん ソーラーパワーでゆったり動く『ANIMAL PLANET TM』を開発
制約の中でリアリティを追求する。
手のひら大の広さの大地に存在するゾウ、キリン、シマウマたち。大地の上に設置された動力であるソーラーパネルの大きさは限られている。極力少ない負荷で、大型動物をリアルに動かさなければならない。
例えばゾウの場合、足の中にある軸を上に持ち上げて、その動きで各部の動きを連動させている。出来るだけ負荷を少ない構造にしないと、モーターが非力なので動きが途中で止まってしまうのだという。
「どこまで動かすのかというのが問題でした。鼻だけ動かすのか、首は、耳は、しっぽはどうするのか。物理上の制約がありますので、全部動かすわけにはいかない。どこをどう動かしたらその動物の特徴が一番出るのか、一つ一つ決めていきました」
実際に動物園に行ったり、アニマルプラネットの映像を見たりしながらリアリティを追求していった。アフリカゾウの鋼のようなボディーやシマウマの力強いおしりには特にこだわった。
「突き詰めて行くと、ダ・ヴィンチではないですけれど解剖学のようなところに行き着きます。結局、骨がどこにあるかということですね。ゾウの骨格なんて全然知りませんでしたが、おもしろかったのは、ゾウにも太ったゾウとやせたゾウがいて、同じ種類の動物に見えないほど見た目が違っていること。特徴的なディテールを落とし込みながら標準的なアフリカゾウを作って行く作業は大変でしたが、楽しかったですね」
想像力で楽しめる領域が広がる。
リアリティを追求した『ANIMAL PLANETTM』ではあるが、もちろん、再現性という点ではパーフェクトであるとは言えない。しかし、金子さんは言う。
「『ANIMAL PLANETTM』は造形的にはよく出来ているといいながらも、やはり作りきれなかった部分もあります。しかし、そういった部分は見ている人のほうで想像していただく部分が残っているということです。むしろその方が、逆に癒されるのではないでしょうか。そういうおもちゃがあっていいのだと思います」
金子さんの想像力と、私たちの想像力を駆使して『ANIMAL PLANETTM』のゆったりとした動きを見ていると、感動がじわじわと伝わって来る。見る人の視点によって、動物の多種多様なイメージが生まれる。なるほど、想像力を膨らませているときが、リラックスして癒されているときだということを実感できる。
ゾウの耳が動く、キリンがしっぽを振る、シマウマが草を食む。そんな姿を見ていると心は遠く、アフリカのサバンナへ飛ぶ。そしてそれは自然に、地球環境について考えさせる。電池がいらないというハード面とソフト面が一致しているのも『ANIMAL PLANETTM』の見事なところだ。

スケルトン素材で作られたテスト版の『ANIMAL PLANETTM』。からくり人形のような仕掛けが体内で展開されているのがわかる

アフリカゾウ独特のシャープな姿を再現した『ANIMAL PLANETTM』のゾウ。肌の色は一色しか使えないため、特に苦労したという

木の葉を食べるように首が大きく曲がる『ANIMAL PLANETTM』のキリン。全体の動きに合わせてしっぽが動く姿がキュートだ

シマ模様の持つ力強さを改めて感じる『ANIMAL PLANETTM』のシマウマ。左足をゆっくりと動かし地面の草を食む姿を再現