金子義信さん ソーラーパワーでゆったり動く『ANIMAL PLANET TM』を開発
電池を使用せず、太陽電池のみで動くインテリア・トイ。株式会社タカラトミーの開発者、金子義信さんはこのエコソーラーシリーズを初めて世に送り出した人だ。「おもちゃは電池で動くのが当たり前」という常識を打ち破り、ゆったりとした動きで人の心を和ませる。今回、彼はアニマルプラネット監修によるアフリカ・サバンナの大型動物を選んだ。
取材・文 小谷祐子
存在を消すことで存在感を増すインテリア・トイ。
「大人も楽しめるおもちゃを作りたい」という希望を持っていた金子さん。折しも時代は癒しを求めていた。「大人が癒されるアイテムを作ろう」ということから、エコソーラーシリーズが登場したのだ。
電気で動くおもちゃは動く時、電池を使うのが当たり前だが、電池交換が常に必要である上、モーター音がしてしまう。机の上に置いた時、うるさかったら癒しのおもちゃにはならない。このデメリットを改善するため、金子さんは化粧品売場などで販促用ツールとして置いてあるポップの動きに注目した。
振り子運動を繰り返すポップはソーラー電池で動いており、電池を必要としない。その原理を利用し、丸いニコニコ顔が左右に振れる『ひだまりの民』を開発。見ているだけで笑顔になれるこの癒しのアイテムは、ヨーロッパやアジアを含め全世界で300万個の売り上げを誇る大ヒットとなる。続いて発表した植物をモチーフとした『フリップ・フラップ』も、ポップな動きに前向きな生命力を感じさせ、好評だ。
「普通のおもちゃは、例えば犬のおもちゃだったら『わんわん』っていう鳴き声がして『相手してね』とこちらに訴えて来る。しかし、エコソーラーシリーズは、音がしないことも含めて何もしない。存在感がほとんどないのです。けれど、ふっと目をやるとゆっくりと動く姿が目に入る。それは、理屈抜きではっとする瞬間です。気を抜いている分、向こうからの主張がぐっと入って来るという効果がありますね」
ゆったりと動物が歩くシーンを切り取る。
ソーラー電池の動きはゆっくりとしており、見ているほうにもストレスを感じさせない。しかし、振り子運動だけではアイテムに限界があった。複雑な動きも可能な、回転運動ができるソーラーモーターの開発が待たれた。
なんとかソーラーモーターが実現しそうだ、ではモチーフはどうしようかという時、金子さんは相当悩んだと言う。数限りない候補の中から動物を選んだのは、それが普遍的に、理屈抜きで愛される存在であったからだ。また、ソーラーモーターはその特質上、ゆっくりと動くのだが、それが大型動物のゆったりとした動きと一致したという技術上の理由もあった。
「僕はアフリカの広大な大地があって、青い空があって、木がちょこんと生えていて、そこに列をなしたゾウやキリン、シマウマが遠くで動いているというシーンを思い浮かべました。日本では動物園でしか、しかも接写でしか見ることがない大型動物たちですが、引いて遠くから動物を眺めるシーンが思い浮かんだのです。なんとかこのシーンを家の中に演出できないかと考え、『ANIMAL PLANETTM』の開発に思い至ったのです」

金子義信さん

ANIMAL PLANETTM

丸いニコニコ顔が左右に振れる『ひだまりの民』は天気のいい日、空に浮かぶ雲をのんびり見ているシーンを切り取って作った

『フリップ・フラップ』は、アニメなどで植物が意思を持って動き出すシーンをヒントにした
