ワールド・エクスプローラー [world explorer] 世界を拓く人

ドゥーガル・ディクソン&ジョン・アダムス「フューチャー・イズ・ワイルド」

エデュテインメントの試み。

今回の来日で二人は、新江ノ島水族館で子どもたちを集めてセミナーを開いた。知的エンターテインメントから「エデュテインメント」へと足を進めた理由はどこにあるのだろう。
ジョン 子どもたちからの反応はきわだって大きく、学校の先生からもたくさんの手紙をもらいました。それで僕たちは、『フューチャー・イズ・ワイルド』は、進化について、そしていまの地球がどうなっているのかについて楽しく学ぶにはとても良いツールではないかと考えるようになりました。
『フューチャー・イズ・ワイルド』は、想像力だけではなく、「科学の法則」を使って作ったものです。それで、僕たちは子どもたちに、科学って面白いんだ。科学を使うと何かが作れるんだ、ということを教えようと考えたのです。
理科好きの子供はもちろん、科学嫌いの子どもや、むしろアートが好きだという子どものためにもやってみたいと思いました。実際、僕も学校の科学の授業は退屈でたまらなかったから。僕が科学というものを本当に味わったのは、『フューチャー・イズ・ワイルド』だったんです。
そこでジョンたちは教材開発に着手した。2億年前から2億年後にわたる特大年表や、授業で『フューチャー・イズ・ワイルド』を活用するための先生用のガイド。さらにイギリスの教育課程に対応した学習プランも作成している。
ジョン いくつかの学校が、これらの教材を試しに授業で使っています。ある学校では、2週間、すべての教科で『フューチャー・イズ・ワイルド』を使うという試みが行われました。
地理の授業では地球の変化を学び、理科では5億年後の動物を予測、数学では体重や筋肉の動きを計算します。英語の時間では比喩や文学的な表現を使って動物たちを描写するのです。生徒たちはいろんな刺激を受けて楽しんでいるみたいでしたよ。
外国語の時間には、フランス語やドイツ語で色や形を説明します。美術ではポスターを描きます。宗教の時間では、『フューチャー・イズ・ワイルド』を一つの予言と考えて、聖書やノストラダムス、映画『マトリックス』まで引き合いに出して比較するという授業が行われていました。
宗教といえば、アメリカでは、聖書の記述とあわないという理由で「進化」という考え方が否定され、授業で教えない学校もあるという。『フューチャー・イズ・ワイルド』はどんな風に受け止められたのだろう?
ジョン この番組がアメリカで放送されたときには、2つの異なる反応がありました。一つは、子どもたちや学校の先生や親からの「すばらしい!」という熱狂的な反応。
もう一つは天地創造説支持者たちからの強硬な批判でした。僕は数週間にわたってある記者からの取材を受けました。聖書の一字一句が絶対的に正しいと考える彼とは議論が成り立ちませんでした。結局、最後に彼はこう書いてよこしました。「あなたはダーウィンだ。つまり、あなたもダーウィンも、間違っている」
私はこう返事しました。「それは光栄なお言葉です、どうもありがとう」

『フューチャー・イズ・ワイルド』ムーブメント。

タイトルの「ワイルド」には、「自然な」という意味のほかに、「エキサイティングな」という意味がこめられている。
ドゥーガル 動物がこの先どんな風に進化していくだろうと考えると、ぞくぞくしますよね。そういう意味での「エキサイティング」です。
エキサイティングで、エンターテイニング。そして、エデュケーションという新しいフィールドにも広がっていく『フューチャー・イズ・ワイルド』。フランスではテーマパーク「FUTURESCOPE」にアトラクションとして登場、日本ではフィギュア販売、プラネタリウムでの特別映像上映が行われる。
韓国やフィリピン、ドイツやインドほか世界各国でもユニークな試みが企画され、さらには映画化の計画も進んでいる。世界的な規模でブランドとして動き始めた『フューチャー・イズ・ワイルド』は、これからも新しい世界を拓いていく。
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