ワールド・エクスプローラー [world explorer] 世界を拓く人

ドゥーガル・ディクソン&ジョン・アダムス「フューチャー・イズ・ワイルド」

恐竜に魅せられた幼いドゥーガル。

ドゥーガル 私は小さいころからずっと、恐竜が好きでした。といっても私が幼いころは、恐竜に興味を持っている人なんていませんでした。テレビにも子どもの本にも恐竜なんて出てこなかったのです。
でも私が5歳のとき、ある漫画で恐竜を見かけて、父に「この動物はなに?」と聞きました。父は本棚から古い自然史の本を取り出し、背表紙にたまったほこりをふうっと吹きはらってページを開きました。すると、何百万年も前、実際に地球上を歩いていたこの動物たちの骨や化石の絵が現れたのです。
そこでもう私はすっかりはまってしまいました。恐竜を知らない友達に絵を描いてあげたり、恐竜と人が闘う漫画を描いて自分で楽しんだり。学生時代には古生物学や進化を専攻しました。
ドゥーガルはここで、すべての動物は遅かれ早かれ絶滅し、別の動物が取って代わるという事実を学ぶ。では、今目の前にいるこの動物が絶滅したら、それに代わるのはどんな動物になるのだろう? 「進化」という流れの先に続く未来の動物を推測してみることが、ドゥーガルの新たな楽しみになった。
ドゥーガル 1970年代後半に「クジラを助けよう」というバッジを友人がつけているのを見たときには、もしクジラが絶滅したらどんな動物がその代わりに生態系を埋めるんだろう? もしかしたらペンギンが巨大化するかも…? と考えました。そしてそのちょうど2週間後、ハッとひらめいたんです。
これは本になる! そうしたら、「進化」をわかりやすく、楽しく、人に説明できるかもしれない。その時に書き始めたのが、81年に出版された『アフターマン』です。

未来の動物はどこから生まれる?

『フューチャー・イズ・ワイルド』に登場する未来の動物たちは、ドゥーガルの空想の中から生まれたのではない。自然な進化のプロセスをたどるとどうなるかという予測から生まれたものだ。
ドゥーガル 未来について考えるということは、むしろ、過去と現在を知ることなんです。ですから私は、未来の動物はこうなるだろうと示すことで、これまでの進化の流れや、現在の生命の姿を人々に知ってもらえたらと思っています。
地質学者であるドゥーガルを含め、このプロジェクトには、昆虫、鳥類、哺乳類、古植物学、古気候学、古地理学の専門家など、15人ほどの科学者が参加している。
科学者たちのアイデアを元に、一つ一つの動物と生息環境、ほかの生き物との関係が考えられていく。そして物理学者と数学者が体重や骨格、筋肉、足のサイズの計算をする。それにしたがってドゥーガルがデザインし、アニメーションスタジオで3次元に起こすという流れで作られていった。
ドゥーガル たとえば、2億年後には鳥のように飛ぶ魚、フリッシュが今の海鳥に取って代わるという予測をします。そして、いろんな色、いろんなサイズ、いろんな海鳥の生態を反映したものを考案するのです。カモメのようなフリッシュ、ウのようなフリッシュなど、さまざまな海鳥をモデルにしたものを提案します。
また、人類は絶滅するという設定にしていますが、それは単なる「しかけ」です。私たちは、自然な進化のプロセスに焦点を当てたかったのです。人間は自然環境に強い影響力を持っていますから、人間が生き続けると、進化のプロセスに基づいて予測することが難しくなってしまいます。その都合上、人間は地球上からいなくなるということにしたというわけです。
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