Eliica特集
スーパー・エコ・カー"Eliica" 慶応大学 Eliica(エリーカ)プロジェクトチーム
「大学発環境ベンチャー」が産声を上げた。
吉田教授はもともと、住友銀行の副頭取まで務めた生粋のバンカーだ。それがなぜ、エコ・カー開発プロジェクトなのだろう?
「清水先生と出会った時、私はリース会社の社長でした。その時に環境問題に関わろうという気持ちが生まれたんです」
リース会社は、耐用年数の過ぎたリース物件を廃棄物として処分しなくてはならない。しかも、環境にダメージを与えてはならない。環境問題について考えるようになったのは自然の流れだった。
「地上に捨てるモノの処理はともかく、空気中に捨てた排ガスについては誰も処理していない。このままでは地球はダメになってしまう」
「私は常々、死ぬときにはかっこよく人生を終えたいと思っていました。だから、リタイア後には人の役に立つことをやろうと思っていたんです」という吉田氏は、社長退任が近づいていたある日、偶然、清水教授の電気自動車に出会う。「これだ!」と感じた吉田氏は、最初は学外から、後に学内で教授として、資金作りでプロジェクトチームを支えることに決めた。
自動車開発は、モノ作り。
車とはふつう、自動車メーカーが多額の資金を投入して開発するものだ。それを大学の一研究室がやろうというのだから、大変な話である。それまでは国の援助で開発を続けてきた清水教授も、この先の資金難に頭を悩ませていた。そこで、ビジネス界から吉田氏を迎え入れたのだ。Eliicaプロジェクトの、「大学発環境ベンチャー」としての出発である。
吉田教授はバンカーとして、企業育成のための資金調達を経験し、企業トップとの人脈も豊富だった。清水教授とともに企業を回った吉田教授は、このプロジェクトへの共感から協賛してくれる企業を探し出し、なんと35社からの協力をかち得る。Eliica 2台の開発にかかった資金は、現物提供、技術提供も含めると5億円。想像をはるかに超えるスケールの企業バックアップだ。

