Eliica特集
スーパー・エコ・カー"Eliica" 慶応大学 Eliica(エリーカ)プロジェクトチーム
“次世代”に一番近い車。
Eliicaは、大型のリチウムイオン電池で走る。リチウム電池とは携帯電話で使われている充電池。だから自宅のコンセントで充電できる。一回5時間のフル充電で300km走れるというから、東京から名古屋近くまで行ける計算だ。夜間に充電すればわずか300円、1km=1円のなんとも驚くべきローコスト車である。
水素と酸素の化学反応で電力を作る燃料電池車こそ次世代の自動車とよく言われるが、燃料電池車が市販に至るまでには、この先20年はかかる。ずいぶん遠い話だ。しかしEliicaのプロジェクトチームは、わずか数年後に商品化を予定している。
中国を中心に、これから自動車が急激に増えることは確実だけれど、これ以上二酸化炭素の排出量を増やしては、地球温暖化が止められない。地球上で排出される二酸化炭素の2割はガソリン車から出るものだから、これがみんな電気自動車に置き換わったら、温暖化防止には劇的な前進になる。
それにEliicaは、同じサイズのガソリン車に比べてエネルギー消費が4分の1。燃料電池車より効率が良い。効率が高く、実現が早い。Eliicaが、「究極のエコ・カー」と呼ばれるゆえんだ。
我慢するエコなんて、意味がない。
「これまで電気自動車を開発してきた人たちは、『電気自動車というのは環境保護のための車なんだから、スピードはいらない』と考える傾向がありました」と清水教授は話す。
「しかし環境に優しいというだけでは電気自動車は普及しない。ガソリン車を超える性能を持たせなければ」と考えた清水教授は、高性能電気自動車の開発を進めた。
このプロジェクトのもう一人の牽引者、吉田博一教授は、清水教授の電気自動車に初めて乗ったとき、こんなに性能の良い電気自動車ができているのか、と衝撃を受けた。「そのとき、『あ、これだな!』と思ったんです」
これまでの環境保護というのは、あれをしてはいけない、これは分別しなさい、車に乗るのを控えなさい、という「不便を我慢するエコ」だった。
「そんな風に我慢を強いるより、この電気自動車に乗れるようにすれば世の中の皆が喜ぶじゃないか。このブレークスルーは、世界を変えるかもしれない」
「我慢のエコ」より「快適なエコ」を先端テクノロジーで実現した清水教授の開発プロジェクトに、吉田教授が魅せられた瞬間だった。



