ワールド・エクスプローラー [world explorer] 世界を拓く人

養老孟司先生「ひとと動物のかかわり研究会」

僕からすればペットを飼わないほうが妙

----- 以前、知人がケニアのサファリ・ツアーに参加したときの写真を見せてもらったんですが、いわゆる猛獣をこんなに近くで見られるのかと驚いたことがあります。
……それから動物と触れ合う場ということですと、野生ではありませんが、最近では小中学校の一部で、授業の一環として聴導犬や盲導犬と触れ合う場を設けたりもしているようですね。
養老 そうなんです。近ごろはそういうことまでお膳立てしてあげないといけない変な社会になってますからね。でも、ある程度そういうことが学校全体でできてくれば、私が子供たちを連れて虫採りに行くようなことも生きてくるんですね。何も知らない子供をいきなり連れていっても、ある程度以上の、教えたくても教えられないことはありますから。
----- そして一番身近に触れ合えるのはペットですね。
養老 僕からすればペットを飼わないほうが妙というか、うちには必ず動物がいましたね。ペットとかコンパニオン・アニマルなんて言葉は使ったことないんだけど。以前飼ってたサルはあきらかに家族だったね。
----- 今は猫を飼ってらっしゃるんですよね。
養老 そう。あとは勝手に住みついてるんですよ。ムカデとかゲジゲジとかクモとかが(笑)。
----- 猫はたしか去勢手術が済んでいるんですよね。半飼いといいますか、外出は自由なんですか?
養老 そうです。食べるものはうちでやってますけどね。こっちがメシ食ってるとテーブルの上にあがってくるもん。ポンと。
----- 養老先生の食事に手を出しちゃうんですか?
養老 いや、それが意外に持っていかない。魚は食わないしね。そういうところはわりあいにおっとりしてるというか。欲しいものがあると手は出そうとするけどね。
----- 話しかけたりなさるんですか?
養老 しますよ、もちろん。「バーカ」とか言ってますよ(笑)。言うのはほとんど「バカ」だけだね。まあ、いつも1人で走りまわってますからね。ダーッと。
----- なんだか楽しそうですね。養老先生も猫ちゃんも。
養老 さっき「相手の気持ちはなかなかわからない」と言ったけど、やっぱりある程度はわかりますよね。犬だってはっきりわかる。猫なんて人のことなんか全然考えてないみたいだけど、僕が家に帰れば、一応「ニャー」とか言ってるもんね。
----- 結局、相手が猫であれ何であれ、人間が彼らと共に生きるために必要なのは相手への理解なんですね。言葉にするとあたり前のことですが、人間同士でさえ理解しあうのがなかなか難しい現実を思うと、その重要性を改めて感じます。……今日は「人と動物のかかわり」というテーマから発展して、私たちはどう生きるべきかという根源的な話題までおうかがいできた気がしています。次回はまた別のテーマでもお話をうかがわせてください。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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