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番組表

ディスカバリー・モーメント discovery moment

茂木健一郎先生

Q1.ひらめいた瞬間について

つい最近、「できることはなんでもやる」ということをモットーにして掲げたんです。それが“現代”という時代なんだな、と。

『ウェブ進化論』を書いた梅田望夫さんと対談したときに、「そうか、なるほど」と思ったことがありました。グーグルという会社があれだけ進歩してきているのはなぜか。グーグルが使っているのは、古典的な人工知能の手法です。これまでずっと、機械は人間のように“考える”ことや、人間のように“感じる”ことは絶対できない、だからそういうことはやろうとしてもダメなんだって言われていました。でも、グーグルはその古典的な手法で、やれることを、あらゆることを、やっているんですよね。だから、グーグルという会社はいま、すごく輝いているんです。そして、それって、人間の社会にも、どこにでも当てはまることだと思ったんです。

たとえば子どもの教育にしても、受験勉強がダメなんだとか、創造性を育むなんて言ったってできないんだなどと言われてますが、でも、「やれること」っていっぱいある。それをやってないだけだと思うんですね。

だから、「やれることは全部やろう!」と僕は思ったんですよね。それって、僕の人生のなかではかなり大きな「チェンジ」でした。だから皆さんも、やれることはみんな、どんなことでもやりませんか。そう簡単にあきらめずに(笑)。

「やれば必ず成功する」とか、「うまくいく」ってことを言いたいわけではないんです。現実はそこまで甘くないですよね。でもいま、技術的に、普通の人のできることが増えましたよね。ウェブもあるし、ブログも書ける。「やれることはなんでもやる」っていうモットーが、単なるスローガンじゃなくて、実際的にできるようになってきたということが、いまの時代の大きな変化だと思います。たとえ、最終的に、理想通りに完成するとは限らないとわかっていたとしても、やれることはいくらでもある。

そう考えると、われわれのなかで、自分の夢を実現するために、やれることを全部やってる人なんて、ひとりもいないわけですよ。僕自身も含めて。そういう時代なんだ、って気づいたのが、最近のいちばんの“アハ!体験”です。気づいてみると、簡単なことなんですけどね。今日のこのイベント※も、僕にとっては、「やれること」の一つなんです。

※ 2006年に実施した「AHA!体験」イベントにてインタビューしました。

Q2.過去に戻れたら会いたい人は?

いっぱい、います。ゲーテ、ワーグナーに会いたいですね。夏目漱石にも。そう、小林秀雄さんにも会いたかった。小林さんには会えるチャンスがあったのになあ……、でも会ってないんです。そして、孔子。孔子の言う「七十従心」の境地について聞いてみたいですね。孔子は「七十にして心の欲する所に従って、矩(のり)を踰(こ)えず」と言っていますが、これは、「人間七十歳にもなれば枯れてきて、欲望通りに行動しても人の道を外れるようなことにならない」とか、「欲望をコントロールできるようになる」と言っているわけではない。もっと伸び伸びとした境地だろうと思うんですよね。もちろん、まだ僕は、心のままに動いたらそれが倫理にもかなっているということには全然ならない(笑)。「七十従心」とはどういうことなのか。過去に戻れるなら、人間と倫理について、孔子さんと話せたらと思います。

構成・文 江口絵理

Discovery Moment(ディスカバリー・モーメント)とは

誰でも経験する発見やひらめきの瞬間。ディスカバリー・モーメントではさまざまな分野で活躍する著名人に、発見やひらめきの瞬間について語ってもらいます。

大きな発見から小さなひらめきまで、そのスケールは様々です。しかしそこから何かが生まれ、何かが変わり、それが人生の転機となることもあるのです。著名人たちの「その瞬間」からあなたも生きるヒントをもらえるかもしれません。

そのほかにも「過去にさかのぼって会いたい人」、「未来に行ってしたいこと」など著名人たちの想像力と個性溢れる回答をお楽しみください。

プロフィール

茂木健一郎先生

1962年東京生まれ。脳科学者。「クオリア」(感覚の持つ質感)をキーワードとして脳と心の関係を研究している。『脳と仮想』で、第四回小林秀雄賞を受賞。NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』、日本テレビ系『世界一受けたい授業』にも出演。最近では、ソニーの携帯ゲーム機プレイステーション・ポータブル用ソフト『脳に快感アハ体験!』を監修。

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