ディスカバリー・モーメント discovery moment
いとうせいこう
Q1.ひらめいた瞬間について
日々よくひらめいてますね。ひらめきって2種類あると思うんですよ。ひとつは学者タイプの正解が浮かぶひらめき、もうひとつはクリエイタータイプのひらめき。
学者タイプのビッグなひらめきは、若い頃多かったけれど、自分で分かったような気になっているだけで本当は分かっていなかった。でも年齢を重ねると、答え合わせはできない、クリエイティブなひらめきの方が楽しくなってきた。
僕は笑いが介在することが好きだから、「みんなが笑ってくれた」ということで結果がでるんです。たとえば何かを言うとき、その一瞬前にひらめきがある。でもそれは実際に投げかけてみないと、結果は分からない。若いときはテクニックがなかったので、アイディアを上手に具現化できなかったけれど、今は発想に追いつくジャンプが上手にできるようになったんでしょうね。
つまり僕にとっては、自分と誰かとの関係におけるコミュニケーション自体がクリエイティブで、そこに日々ひらめきがあるんです。
Q2.過去に戻れたら会いたい人は?
まず、会いたい人は個人名ではいないな。僕はどんなに好きな人でも、実際に会いに行くことは苦手なんです。その人の作品を見るのは好きなんですけどね。
でも過去に戻れたら、見てみたい瞬間があります。人間が動物をペットにした瞬間です。人と人の愛着は分かりやすいですよね。たとえば男女間でいえば、生殖ということがあり、惹かれあうわけですから。でも動物は完全な異種なわけで、たとえば最初は道具として飼っていたイヌに愛玩の気持ちが芽生えた瞬間を見てみたいです。
徐々に移行していく経緯ではなくて、瞬間です。 それは「2001年宇宙の旅」でモノリスに人類が触れた瞬間みたいなもので、人類の考え方、感じ方が大きく変わった境目のように思えるんですよ。
Q3.100年後の世界に行けたら?
まず自分の名前でネット検索をする。大きく変わった社会で自分の活動が、どんな人に、どういう風にひっかかっているのかを知りたい。
たとえば100年前の文学で、今も多くの人に読まれているものって少ないじゃないですか。何かを残すことは難しいことだけれど、1人くらい、僕のマニアがいるかもしれない。そうしたら何がその人をくすぐっているのか、聞いてみたいな。

