「ひらめき」のシャワーを浴びる
ひらめかないときのモヤモヤも、ひらめいたときの喜びも誇らしさも、わからなくて後から正解を聞いたときのすっきり感も、楽しくてなんだか癖になってくる。ドクター茂木は、それを見透かしたかのように、次々に問題を繰り出してきた。
2枚の絵が交互に表われ、それを見比べる「アハ!チェンジ」。「同じ絵のように見えますが、一箇所、大きく違っているところがあります。それを探してみましょう」
えー、同じに見えるけど…。ハッ、2枚目の写真には飛行機の影がない! この前に何十回も見比べてたのに、なんで、いま初めて気が付くんだろう?
「『アハ!センテンス』をやってみよう」。ドクター茂木が次のお題を出す。「アハ!センテンス」とは、一見、「なぜ?」と思うような文章に、「なるほど!」と膝を打つような説明をつける遊び(脳のトレーニング)だ。
「『危険』と言ったらまわりの人が手をたたいて喜んだ」
さあ、これはどういうことかな? …なんで? 意味がわからない。
はいっと手が上がる。
「クイズの答えだったから?」
「それでもいいんだけど、『なるほど!』っていうのがないな。もうちょっと考えて」
「…しりとり?」
「正解!」
子どもたちとドクターの掛け合いは、小気味良いテンポで進んでいく。
そしてお次は、「アハ!ムービー」。 まるで、「アハ!」のシャワーを浴びるひとときだ。
「アハ!センテンス」
問題:「鍵が壊れたので、女の子はポップコーンをこぼした」 ※答えは最後のページで
味覚の「あれ?」、音の「あれ?」
ドクターの授業が終わり、ほかの部屋へ行ってみる。「味覚の不思議を食べる部屋」は、まるでお菓子の家。天井から色とりどりのキャンディがぶら下がり、どれでも好きなのをとっていい。奥の球体の部屋には、壁一面に棒つきクッキーがくっついている。手に届くものをはがして食べてみる。
キャンディやクッキーは甘いはずと思って口にする。と、なんか変だ。甘くない。キャンディがしょっぱい! クッキーが辛い!
おにぎりを一口ほおばってみる。…甘い! 頭で思っていたことと、実際に体験することのギャップに、「あれっ」と頭がぐるぐるする。
思わず、女の子が見知らぬ近くの人に話しかける。
「ねえねえ、食べてみてコレ!」
「あっ」と思った瞬間、周りの人に同じことを感じてもらいたい!と強く思う。それが、「発見」することの喜びだ。そして子どもは、その気持ちに正直だ。
ここでは、虫の声が聞こえる。小鳥の声もする。そんなに自然にあふれたところだったのか。川のせせらぎが聞こえる。あれ?……近くに川はないはず。
飛行機の機内アナウンスがする。ここはどこだっけ?
ジャングルの音、砂嵐……。何かを炒める音、焼く音、煮る音。料理の音。ここは、味だけではない、不思議な音に包まれた部屋でもあった。